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ドナルドダックに失恋した彼

惚れっぽいインコ

従姉妹の家で飼われていたセキセイインコは雄で綺麗な
オバーリンブルーと呼ばれる羽の色で、
優雅に部屋の中を飛び回ってくれていました。

彼は非常に惚れっぽいので次々に片思いの相手を見つけるのです。

初恋は雛鳥だった頃一番世話をし、
さし餌をしてくれた従姉妹の母で、私にとっては叔母です。

叔母は最初、インコが病気になったと思ったそうです。
機嫌よく側に飛び降りてきたかと思うと突然吐いたからです。

後から調べてわかったのですが求愛行動の一つである吐き戻しに
過ぎなかったのですが、あわてた叔母さんは獣医さんに
電話して思いっきり笑われてしまったそうです。

生物、無生物は関係なくありとあらゆるものが彼の恋愛対象に
なりうるので思いもかけないところに吐き戻しの痕跡が
残されていてしかも、時間を経て固まると取りづらくなるそうです。

たまにしか遊びに行かない私が対象になったこともあるのに
一緒に住んでいる従姉妹が対象にならないのは
何でなんだと話題になったこともあります。

従姉妹よ、インコが嫌がっているのに頭をすっぽり口の中に
入れるからだとは言えていないけどいい加減それは止めないと、
その内怒ったインコに喉をつつかれるよとテレパシーを送っておきます。

早く気づいてください。

現在の思い人はぬいぐるみ?

そして今の彼の片思いの相手は愉快なディズニーの仲間の一人?
一匹であるドナルドダックのぬいぐるみです。

叔父さんの働いている職場では半年に一度親睦会と称した飲み会が
行われるのですが毎回ビンゴゲームをやるのですが
今回の賞品がドナルドダックのぬいぐるみだったのです。

大きさはインコより少し大きいくらいでふわふわの素材で
出来ているそれは家に持ち帰って以来すっかりベタ惚れされています。

インコは幼少の頃より言葉をある程度練習すれば話せるように
なるというので従姉妹の家でも張り切って覚えさせました。

自分の名前と住所の他に挨拶やちょっとした会話などを
仕込んだ結果時々混乱はしますがある程度の会話が
出来るインコになってしまったのです。

最近のインコの彼は朝起きると籠から出してもらうとさっそく
片思いの相手に挨拶にいきます。

自分の名前や住所を言った後でなんとなくナンパめいたことを
つぶやいたかと思うと楽しそうに辺りを1周し元の位置に
戻り熱く何かを語りはじめるのです。

それはまさしく人間の男女の求愛行動にも似ていて笑えてしまいます。
ドナルドダックが応えてくれるはずもなく相手にされていないと
しょんぼりとして拗ねまくります。

しかも、ドナルドダックの前で拗ねるのではなく相手が見えない所で
拗ねる姿はよく街で見かける女の子にフラれている男子そのものです。

三歩で忘れる鳥頭ということわざがありますが、インコの彼もすぐに
忘れて恋しい人の元へと戻っていき再び求愛行動が始まるのです。

毎日話しかけたりクチバシでつついてみたりと様々な方法で
コミュニケーションをとろうと試みる姿は健気で涙さえ誘うらしいですが、
どうしても最後は笑えてしまいほのぼのしてます。

ついに別れの日がやってきました。

何をしても応えてはくれないドナルドダックにしびれを切らし、
いつもより鋭くクチバシでつついてしまったのか、
ぬいぐるみの首がもげるという大事件が起きました。

インコの彼も己のしでかしたことに呆然とし、
人間の方でもどうしてやったらいいのかと皆で固まってしまいました。

さすがの彼にもこの恋が終わりを告げたのがわかったようで数日の間、
籠から出ようともせずにうなだれる姿は哀愁が漂っていたそうです。