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母と黒猫

ある黒ネコと猫好きな家族の名話を紹介します。

クロと名付けられた子猫

家族揃って猫が好き。
中でもお母さんはペットの黒ネコが大好きでした。

飼い主となる男の子が中学生になった頃、みんなが猫を飼いたいと意見も一致したので知り合いから黒ネコの子猫を譲ってもらいます。

ペットとの付き合い方も人それぞれですが、クロは猫なのに雀を追いかけ家の壁に張り付きそのまま降りられなくなるといったドジな一面のある愛嬌たっぷりの猫でした。

でも家族のだれかが落ち込んだ時には、黙って寄り添ってくれるというとても優しい心の持ち主でした。
ペットというよりも家族みんなが、家族の一員としてクロと接していました。

クロも大きく成長し男の子は高校生になりました。
思春期の難しい年頃なので母親と衝突する事も増えた頃、母親が体調を崩し検査入院をします。

検査入院を終え母が帰宅する日、母を心配する反面喧嘩をしてしまい気まずい思いで家に帰ると、お母さんは笑っていました。

その側にはクロがぴったりと寄り添っています。
結果を聞き母がガンであると知り、男の子はショックを受けます。

その後も入退院を繰り返す母の病状は進行していき、転移も見られるようになっていました。
一時退院で母が帰宅すると、クロはピッタリと母に寄り添い離れようとしません。

クロが果たした役目

そんな時、クロまでもガンになったことが判明します。
鼻筋にできた傷は腫れあがりとても痛そうですが、母が帰宅する時はクロは必ず母に寄り添います。

しかしクロもガンに犯されているので、入院を余儀なくされます。
しかし入院しても病院を抜け出し、家に戻ってきてしまいます。

きっとクロには家に帰りたい理由があったのでしょう。
母もクロも入院していましたが、最後は家で過ごしたいという母のたっての願いで自宅療養をする事になります。

ちょうど暮れも押し迫った師走の事です。
家に帰りホットした母が一言、居るといい玄関を指さします。

家族は不思議に思い玄関に行ってみると、鼻筋に傷のある黒ネコが玄関にいました。
クロはまたしても病院を抜け出し、寒い中10kmも離れている家に自力で歩いて帰ってきたのです。

クロはまっすぐ母の元に行き今までのように寄り添います。
そんなクロをみて母は泣いて喜び、しばらく大好きなクロと過ごします。

大晦日に母は息を引き取りますが、葬儀が年明けにならないと無理なのでそれまで自宅で遺体を安置する事になります。
冬でしたが保冷剤などで冷やすのですが、真冬の寒さに加え保冷剤で冷やされている冷たくなった母にクロは尚も寄り添い離れようとしません。

男の子も何度か引き離そうとしますが、クロは意地でも離れないので思うようにさせる事にしました。
その後母の葬儀を終え百ヶ日法要を迎えた日、母を慕っていた姉の膝の上でクロは息を引き取ります。

母親っ子だった姉のショックは誰よりも大きく、クロもそれを感じ取ったのでしょう。
最後は母の代わりに姉を見守り、自分の役目を終え天国に旅立って行きました。