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捨て猫と地域の絆

地域の取り組み

最近は動物愛護法が定められたり、動物愛護団体の積極的な活動や、ペットは家族の一員という価値観への変化もあり、あまり捨て猫を見かけなくなりました。

ですが私が子供の頃、今から20数年から30年前ほど前は、子猫が生まれすぎてどこかに捨ててしまったり、拾ってもらえるようにと子供の登下校の道に段ボール箱に入れて捨てられてしまうケースも少なくありません。

私が今からお話する猫は、捨て猫といっても子猫ではなく大人の猫でした。
捨てられた理由は引っ越しです。

あるアパートの一室に住んでいた方が、その猫を飼っていました。
可愛がっていたようですが、その一家が転勤に伴い引っ越した後、猫だけが残されていたのです。

猫は人より家になつくなどということがありますが、新しい場所ではおそらく飼えない事情があって、やむなく残していったのかもしれません。

もっとも、それなら誰かにもらってもらうなどすればよかったのですが、可愛い子猫ではなく成長した大人の猫でしたから、貰い手が現れなかったのかもしれません。

成長した成人の猫は、飼い主以外に警戒してあまり寄ってこなかったり、なつかないこともあります。
ですが、その猫は周囲の住民に非常によくなつき、みんなに可愛がられました。

その時々訪れる家でエサをもらったり、軒下などに身を寄せて寝て生活をしていたのです。
飼い主がいなくなっても、その場所を離れることはなく、会う人に喉をゴロゴロ鳴らしてすりよる愛嬌のある猫でした。

そんな猫があるときから、少し様子がおかしくなりました。

捨て猫は母猫に

なんと妊娠していたのです。
その猫はこれまで通り近所を散歩して回りながら、ある1軒の家を選びました。

そこはお風呂場のすぐ近くに軒下があり、とても暖かく子供を産み育てるには安心だと感じたのでしょう。

お腹に命を宿したことで、自分の赤ちゃんを守るにはどうしたらいいか分かるのですから、大したものです。
その家の住人も段ボールに暖かい布などを入れて寝床を用意してくれて、近所のみんなが生まれてくるのを楽しみにしていました。

そして生まれたのが、5匹の子猫たちです。

親猫は母乳を出すために、これまでにないくらいしっかりとエサを食べるようになり、5匹を育てなければならないという自覚が芽生えたようです。

一方、子猫が成長し、やがて母乳から地域の人たちが与えるエサが食べられるようになると、親は自分は食べずに子猫たちが食べ終わるのを待っています。

地域住民みんなに愛されながら育ち、かつ親猫としての素晴らしさを教えてくれたこの猫にとても感動させられました。