ペットの名話 保管庫
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奥さんに引き取られていったシー・ズー犬

金遣いの派手な友人

友人は会社の社長なんかもやっていて金回りと金払いが
良いという危険な組み合わせを持っている男がいます。

学校が同じだった男同士の気楽さか良く誘われて飲みにも
連れていってもらいました。

景気が良いとはいえ同じ年の友人にたびたびご馳走になるのは
気が引けるものですが、彼は気の良いやつで私が気づく前に
支払いを済ませてしまいます。

あんまり悪いなあと思って妻に頼んで手料理を土産に持っていって
彼の家でたまには家飲みしようやと誘ってみたところ
快諾してもらえました。

狭い拙宅でなく広い戸建の彼の家での家飲みは
庭を眺めながらしました。

庭に咲いていた紫陽花は昼間と同じように夜見ても
見飽きませんでした。
綺麗にライトアップしている庭は一人暮らしの彼自身も
滅多に見ることはないんだそうで、一緒に楽しみました。

奥さんとは1年前に離婚したらしく原因は彼の遊び好きな性格に
あるらしく一緒に出歩いていた私も同罪かもしれなく奥さんには
すまないことをしたなと思っていました。

愛らしいシー・ズー犬

いつのまにか小さな影が寄ってきていました。
白と茶色の毛の混じった犬でした。

その昔、西太后にも可愛がられていたという
シー・ズーという種類の犬です。
大きな目に短い足で可愛らしい人気犬種です。
実を言うと我が家の近所ではこのシー・ズーを飼っている家が
非常に多いのでわかったのでした。

犬のことが特に好きではない私でしたがとりわけ可愛い犬でしたし、
非常に行儀が良く食べ物を切なそうに見るだけで
ねだりはしませんでした。

さらに飼い主である友人のことが好きでたまらないらしく側を
離れようとはせずますます可愛い犬だなあと思いまして友人へ、
そう言ってみました。

友人が言うには、自分が出歩いていてあまりかまってやらない
もんだからたまに家にいるといつもこういうふうに
側を離れないらしいのです。

健気さにほろっときて羨ましくなってそう言うと本当は
友人の犬というよりは今は家を出ていった奥さんの愛犬らしいのです。

奥さんは慰謝料を元手にお店を始めたのですが軌道に乗るまでは
一人で頑張りたいからと犬を置いていったんだそうです。

今の所はお利口さんに見える犬ですが友人があまり家に
帰ってこなかったりして留守番が多過ぎるとわざとトイレ以外の
ところでオシッコをして抗議をするんだそうです。

友人に怒られるのは分かっているのでほとぼりが冷めるまで
出てこようとはしないそうです。

中々小賢しいけど可愛いなと思っているといつの間にか犬が
近寄ってきていました。

どうやら手に持っていたつまみのチーズが
欲しいらしく視線が指のあたりを離れません。
私が笑いながら差し出すと嬉しそうにパクリと食べました。

友人の家に次にいった時には犬はすでにいませんでした。
奥さんのお店が上手くいって連れていってもらえたようです。

友人は最後の晩餐に手作りメシを作って送り出してやったそうです。
すごく旨そうに食いついていつまでも餌の容器を離さないので
少し困ったよと照れくさそうにしていたのが印象的でした。

友人も少しだけ犬がいなくなり寂しかったのかもしれません。
奥さんのところで元気でいてくれるといいなと思っています。