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帰巣本能を発揮した犬ジン

映画やドラマのような奇跡

遠い場所からハプニングが起きて飼い主とはぐれてしまったりして
犬が自分の力だけで帰ってくるという映画やドラマが
昔あったように思います。

しかし、本当に遠く離れた場所から奇跡的にご主人様の待つ家に
たどり着いた犬のお話は世界中に実話があるようです。

そして、おじさんの可愛がっていた柴犬ジンも奇跡的に生還した犬の
一匹になります。

おじさんとおばさんはジンを連れてよく近くの公園や山歩きなどを
することが好きなアウトドア派な人達です。

事件の夜

その日も家からは車で二時間ほど走らせた所にあるキャンプ場で
キャンプをしていました。
事件が起きたのは夜中でした。

突然降り出した雨に外の様子を伺っていたら
雷鳴に驚いたジンが止める間もなく外に出ていってしまったのです。

朝になっても戻らないジンを探してキャンプ場の周辺を探しましたが
見つからず、保健所は休みだったので警察にだけ届けを出しました。

警察にはそれらしき犬の情報は皆無でしたので二人は本当に
落ち込んでしまいました。

あんなにオロオロしたおじさんを見たのは初めてでしたが
私はとりあえずジンの写真入りのポスターを作ることを進めました。

ジンの全身が写っている写真をさっそく探しだし、
文章を考えポスターを作成し、居なくなった周辺のお店や
施設に頼んで貼らせて頂きました。

入ってくる情報は多くて現場に行く度に別の犬だったり
もういなかったりしてジンは見つかりませんでした。

おじさんとおばさんももうジンには二度と会えないんじゃないかと
意気消沈するだけの毎日でした。

飼い主と飼い犬が起こした奇跡のような体験

私はその日母に頼まれておばさんの好きな和菓子を差し入れに
持って行くところでした。

食欲がなくてすっかり痩せてしまったおばさんを心配した母は
何かと二人の好物を差し入れするようにしていたのです。

おじさんの家に行く前にコンビニに設置してあるATMのコーナーで
お金を引き出しておこうと思ったのです。

用を終えて出てくると駐車場の隅に茶色い塊が見えました。
茶色い塊はどうやら薄汚れた犬のようでした。

私はまさかと思いながらも薄汚れた犬をよく見るために
近づいていくと犬の方も警戒するように立ち上がりました。

ジン?と私は信じられない思いで名前を呼びかけてみました。
薄汚れている上にがりがりに痩せていて覚えているジンとは
少し違っていますが私が呼びかけると嬉しそうに尻尾を振る姿は
確かにジンのようでした。

もし、ジンでなく他の迷い犬だったらとは不思議と思いませんでした。
ジンを車に乗せおじさんの家に向かうことにします。

おじさんとおばさんに電話しておこうかとも考えたのですが、
何といっていいものやら見当がつきません。

家にはすぐに着いてしまいジンも窓から覗き込みます。
ドアを開けて下ろしてあげると迷わずに玄関へ向かう姿は
やっぱりジンでした。

おじさんは留守だったのですが家にいたおばさんは
ジンの姿を見た途端に泣き崩れました。

一目でわかったのはさすが飼い主です。
おじさんに電話で知らせると飛ぶようにして帰ってきました。

ジンの好きなお風呂を用意したり満腹するまで食べさせたりと
大騒ぎになりましたが、明日は獣医さんに見てもらおうと
電話で予約までしていました。

どうやってジンがキャンプ場から家までの距離や方向が
わかったのかは謎です。

犬には帰巣本能があるといいますがいったい地図もナビゲーションも
持っていないのに帰ってくることができたのかは本当に不思議です。

飼い主とジンだけにしか分からない確かな絆を感じました。