ペットの名話 保管庫
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おじいちゃんと犬は町内の隠れアイドルでした。

おじいちゃんとケン

近所に住んでいる中村さんの家のおじいちゃんはゲートボールが
好きな社交化でした。

仕事を退職してからは趣味のガーデニングや友だちと
釣りに行ったりパークゴルフをしたりと毎日が充実していたようです。

おばあちゃんはおじいちゃんと一緒にガーデニングする以外は
犬のケンとの散歩を楽しんでいるようでした。

おじいちゃんが脳梗塞で倒れたのは突然でした。
幸いにも一命はとりとめリハビリをすればある程度は元通りに
なるけれど完全治癒は難しいだろうと医師に言われたそうです。

おじいちゃんは病院での治療と辛いリハビリを終えて家に帰ることを
許可されたのですが、以前と同じ生活というわけには
いきませんでした。

家の中はバリアフリーにして段差をなくし身体の不自由な
おじいちゃんが生活しやすいようにリフォームをしました。

以前は布団で寝てたのを今度は介護用ベッドを入れました。
これだったら誰かに手伝ってもらわなくとも自分で好きな時に
起き上がったり寝たりできます。

ケアマネージャーと相談してお風呂には浴槽と同じ高さの椅子を
用意しました。
椅子を浴槽の近くにおいて座り徐々に浴槽の中に
足を入れゆっくりと身体を入れるという方法です。

お風呂から出る時には設置した手すりにつかまりながら
そろそろと出るのです。

以前とは全く変わってしまった生活におじいちゃんは戸惑いました。

家の中ではなんとかなっても外ではどうしたらいいのか
分からなかったので外出をしないようになりました。

リハビリの先生に進められた散歩も嫌がり、友だちに会いにも行こうとは
しないのでおばあちゃんは一計を案じました。

コンビ誕生!!

いつもは自分でする愛犬の散歩をおじいちゃんにさせてみることに
したのです。

ケンはトイレを家の中でするので片手が不自由なおじいちゃんでも
リードさえ持てれば散歩させることは可能です。
おばあちゃんはどうしても外せない用事があるからとおじいちゃんを
強引に犬の散歩に出しました。

片手には杖と犬のリードを持ちとりあえず出発しましたが、
おじいちゃんはあまり犬のケンとは関わってこなかったのです。

お互いにどうしたらいいのかわかりませんが歩きだしました。
犬は元気だし自分の身体は自由には動かないのだし、
ゆっくり歩いてくれることを願いました。

ケンの歩き方は自分に合わせてくれたのか急かすでもなく
ゆっくり歩いてくれているのにホッとしました。

自転車が勢いづいたままおじいちゃんの方へやってきた時には
逃げることもせずに守るように前に踏ん張ってくれたこともありました。

ケンの世話も散歩もほとんどおばあちゃんに任せていたのに自分の
ことも守ってくれるのだなと思うと嬉しくなってきて次の日から
散歩する距離が長くなっていきました。

実をいうと、おじいちゃんとケンを無理矢理散歩に出したもののずっと
心配でおばあちゃんが後ろから付いてきていました。
狭い道での自転車の暴走は本当に危険です。

おじいちゃんのように足の悪い人はよけようもないので自転車に
乗っている人が気をつけてあげてください。

この話は近所に住んでいる中村さんの家のおばあちゃんから
聞かされた後日談です。

最近ではおじいちゃんとケンのコンビは近所でも評判です。
おじいちゃんはケンとの散歩がちょうど良いリハビリになったのか
再びゲートボールやパークゴルフが出来る日もきそうです。

私はおじいちゃんとケンの密かなファンでもあります。
このコンビは見ているとほのぼのして癒されます。
一人と一匹に明日も頑張って欲しいのです。