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獣医になるきっかけをくれたペット

獣医は動物のお医者さんです。
言葉を話すことができない動物の病気を治したり、怪我をしたら手術をしたりある意味人間のお医者さんよりも大変で苦労の多い仕事です。

ある女の子が獣医になろうと決心したきっかけは、祖父がプレゼントしてくれた1匹の犬でした。

小学5年生の時の出会い

両親が医療関係者だった事もありその女の子はいつも1人でした。
両親の仲もあまりいいとは言えず、いつも仕事が忙しくほとんど家にいなかったので、物心ついたときから1人が当たり前になっていたのです。

学校では少しポッチャリしているという理由で、いじめられ友達もいませんでした。
でもその女の子はあまり悲しいとは思っておらず、どこか冷めた子であると自覚していました。

そんな小学5年生になった夏休みに、祖父が大きな箱を抱えて家に遊びに来てくれました。
ちょっぴり大きくなっていましたがその子犬は、トライカラーで眉が茶色く麻呂眉毛のように見えたので、マロと名づけます。

留守がちだった両親も、女の子にいい遊び相手ができたので安心だったようです。
学校から帰るとすぐにマロと遊び、本の読み聞かせやしつけも頑張ります。

犬やペットというよりも、マロは女の子にとって弟でもあり親友でもあったのです。
学校では相変わらずいじめられていて、男の子からの悪口など傷つくこともあります。

そんな時も家に帰ればマロがしっぽを振って大喜びで出迎えてくれます。
そんなマロを見ていると自然と涙が溢れてきます。
マロは泣いている女の子の手を舐め慰めてくれます。

普段は人前で泣くような事はしない女の子ですが、マロの前なら泣いてもいいのだと安心します。
それからは益々マロとの絆も深まり、同じベッドで眠りマロにだけ秘密を打ち明けることもありました。

獣医さんの言葉

あるとき女の子が犬を飼っていると知ったいじめっ子が、お前みたいなブスに飼われて犬が可愛そうだと心無い言葉を浴びせます。

女の子はそのことで深く傷つきマロに申し訳ないのでは?と悩む事さえありました。
マロの健康診断で動物病院に行ったとき、女の子は思い切って獣医さんに質問します。

飼い主である自分がブスだとマロは他の犬に馬鹿にされたり、恥ずかしいと思ったりしますか?
獣医さんはこう答えます。

そんな事は絶対にないし、君が悲しい時はマロも悲しい、君が嬉しい時はマロも嬉しいのだと。
獣医さんはさらにこう言います。

マロはとても幸せそうに見えるし飼い主さんに似てとても可愛いよ、そんな獣医さんと女の子のやり取りをマロは不思議そうに見ています。

月日が流れ女の子は高校生になり、マロはだいぶ年を取りました。
でも相変わらずマロはペットではなく、女の子の弟であり親友です。

女の子にも友達ができ家に友達を連れてくると、マロは自分のお菓子を咥えて友達に持ってきてくれます。
子供の頃は両親のように医者になると思っていた女の子は、動物病院でアルバイトをしながら獣医学部に通っています。
女の子は今こう思っています。

私が獣医になる頃マロは生きていないかもしれないし、勉強が忙しく前みたいにマロとべったり一緒にいられないけど、ペットという家族に恩返しをするために頑張ろう。
きっとマロは私の気持ちを知って、手を舐めてほめてくれるだろうと。